三県境を確かめに
松代の知人から、栃木、群馬、埼玉の三つの県が接する境界の場所を教えていただきましたので、早速訪ねてきました。この三県境は全国に何カ所もあるそうですが、高い峰であったり、川であったりするところがほとんどだそうです。埼玉、群馬、茨城の3県境や栃木、群馬、茨城の3県境も近くにありますが、渡良瀬川の中になっています。ところが、今回尋ねた3県境は、珍しいことに、平地の田の中にあります。

急に春めいて風もない暖かい日を選んで、自転車で出かけました。自宅から数キロ先の道の駅「きたかわべ」の近くというので、渡良瀬遊水池の堤防の上の歩行者・自転車専用の小道をのんびりと走らせます。堤防から見下ろす遊水池の葦などは、まだまだ冬の姿ですが、堤防の所々には、野生のカラシナが花盛りでお出迎え。芝草の間にはオオイヌノフグリも、小さな花をのぞかせていました。

出かける前に、五万分の一の地図と地図ソフトで、3県境を確かめては来たのですが、実際にその場の近くへ行くと、見当がつかなくなります。結局近くの民家を訪ねて、位置を教えてもらいました。「つい先日役所の人が調査に来ましたよ。」といいながら出てきて道を教えてくれました。
                     ありました。道の駅から五〇〇mほど、堤防の道から降りていくと、田圃の畦道に地主が建てたというお手製の小さな看板が立っています。群馬県板倉町、埼玉県加須市、栃木県藤岡町(旧谷中村)の境界だと説明されていました。その傍らに、幅30cmほどの小さな溝が三方に伸びていました。この溝が県境??? 藤岡町は町村合併で今は栃木市です。ここは旧谷中村とありますから、谷中村民を追い出して遊水池にする前には、ここまで谷中村が広がっていたのでしょう。今は遊水池との間に高い堤防が築かれて、そこには国道も通り、この地点からは遊水池は全く見えません。

私が3県境を尋ねたとき、年配の男性と二〇代ぐらいの男性が尋ねて来ていました。なんでも、旅の楽しみとする県境マニアもいるそうで、そんな方なんでしょうか。近くには3県境臨時駐車場も設けてあり、結構多くの人が尋ねて来ているのでしょう。県境を観光地化する動きが近畿の方では既にあるそうですが、ここも観光の目玉にしようと関係自治体が現地調査をしたそうで、新たにモニュメントを建てようという動きもあるそうです。

境界といっても、人間がいわば勝手に引いたものでしかありませんが、境界を越えるたびになにか興趣を覚えます。そこには様々な歴史的ないきさつもある筈です。また、その地域の人々の暮らしにも境界は意味をもつのでしょう。3県境は全国にたくさんあるそうですから、訪ね歩く人も増えていくのでしょう。

3県境を尋ねた後は数百メートル先の道の駅で、定番の天ぷら蕎麦で昼食。期待はしていなかったのに反して、なるほど蕎麦だと味わったおいしい蕎麦でした。帰りは、霜焼けの指先が靴に当たって痛むので、靴下で自転車に乗って来ました。わずかな距離でしたが、私には近来まれにみる長距離??で、ほとほと疲れました。

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