ふるさと納税をしました
ふるさとは生まれ育った土地、第二のふるさとは移住して暮らした処、と私は思ってきたのですが、どうもこれは違うようなんです。皆さんはどうお考えですか? 念のため広辞苑を開くと(1)古くなって荒れ果てた土地(2)自分が生まれた土地(3)かつて住んだことのある土地。また、なじみの土地とあり、私の思いとはさして違いはないようです。
でも、今の時代はこんな偏狭な考えではなく、視点を大きく捕らえて、日本人のふるさとは日本国、世界中のふるさとは地球だと、お国に教えて貰いました。

ふるさと納税は総務省によると「ふるさと納税で日本を元気に!」と、「地方で生まれ育ち都会に出てきた者が、税制を通じてふるさとへ貢献する仕組み」だそうです。おやおや、ふるさととは出身地のことなんですか、あれ、なにかおかしくはないでしょうか。現実のふるさと納税の納税先は、日本中どこでの自治体でもいいそうで、北海道から沖縄まで、返礼品の品定めの結果から選んでいるようです。つまり日本中がふるさとなんでしょうね。

ふるさと納税をすると「2,000円を超える部分について、一定の上限まで、原則として所得税・個人住民税から全額が控除」された上に、寄付先の自治体の寄付金額に応じた返礼品も貰えるとあっては、だれでも寄付したくなってもおかしくはありません。総務省によると、平成28年は数百万人が約3千億円の寄付をしたそうです。今年はきっとこれよりずっと多くなるのでしょうね。
他の自治体に負けずと寄付金を集めるためか、返礼品を競うようになって、随分豪華になってきているとか。家電、金券などや、果ては遠くの自治体の産物まで登場して、喜ばせてくれるようです。

税金のことはよくわかりませんが、所得税の控除 =(ふるさと納税額−2,000円)×「所得税の税率」だそうで、税率は所得額に累進するので、高額所得ほど控除額は多くなるようです。また、住民税の控除額=(ふるさと納税額−2,000円)×住民税率(10%)のよし。更に特例分として(納税額−2,000円×(100-10-所得税率)が控除されるようです。計算が正しいかどうかわかりませんが、1万円寄付した私の場合は、所得税の控除額は所得が少ないので400円で、住民税の控除額は800円+6800円=7600円。税金控除額8000円。2000円で返礼品6225円というのでしょう。これではどなたも手を出したくなります。

寄付を受けた自治体は10000-6225の差額が純然たる寄付。それで、地元の特産品を返礼品として買ったことで産業振興に一役貢献したのでしょう。一方、居住地の自治体は7600円の収入減。第二のふるさとの税金を、他の自治体へ回したことになるのでしょう。大都会では、高額寄付者も多く、それだけ住民税の減収が多いそうです。これらの実態を踏まえて、制度そのものを見直す必要があるのでは。本来、寄付は見返りとは無縁の筈。そうか、ふるさと納税は納税であって寄付ではないんだ。貧乏人には縁のない金持ちの優遇策だ、そんな批判の声も聞こえます。

欲得で初めてふるさと納税をした先は、島根県の出雲市。観光で出雲大社には行ったけれど、特別のゆかりはありません。強いて揚げれば、体調にいいと聞いてイチジクのジャムを毎日口にしていますが、たまたま出会ったジャムの中に出雲市の多岐というところのジャムがあります。地図で見ると、市街地を離れた日本海に面した斜面の山間の集落のようです。そこで栽培された「蓬莱」という種類のイチジクを原料にJAの加工場で作っているそうです。そんな生産を応援しようという気持ちもちょっとだけありました。

さて、今年はどうしましょうか。もし納税するとしたら、自分の本当のふるさとを先ず考えたいものです。あれ、第二のふるさとへ寄付したらどうなるんでしょうね。そんな埒もないことまで考えてしまいます。

通りかかった畑の隅に蕗の薹を見つけました。何年ぶりかという感じです。子どもの頃、蕗味噌を作ってくれましたが、苦いその味は好きにはなれませんでした。

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