いちごと尊徳と親鸞の二宮町

 栃木県に二宮町というところがあります。私のところから1時間ほどのところです。
特別の観光地というわけではないのですが、いちごの産地だから、新鮮ないちごでも買ってこようと考え、風は冷たいけれど天気はいいので、思い立って出かけてみました。

二宮町はいちごの栽培が盛んなところとは知っていましたが、いただいたパンフレットを見て、びっくりしました。平成10年の農林水産統計でいちごの収穫量の日本一が二宮町だそうです。しかもグラフのようにダントツの一位です。町はほとんど平坦な農村地帯です。ところどころにいちごのビニールハウス何棟も立っています。そのハウスは一体何メートルあるのか、途方もなく長いのにはびっくりします。ここで栽培されているのは「とちおとめ」という大粒の品種です。

観光いちご園もありますが、1000〜1500円を払って、実際に口にするのは100円分ほどでしょうから、道の駅によってそこでいちごを買い求めました。特別に安い値段ではありませんでした。いちごの他の野菜は、市価より安いというので、何種類か買い求めました。

ところで二宮町というところは、ここの他に神奈川県にもあります。二宮尊徳の生まれたところです。ではここの二宮町は何で二宮なんでしょうか。ここは二宮尊徳が26年間役人として生活していたところなんだそうです。小田原藩家老の服部家の財政再建を成功させた尊徳は、藩主大久保家の分家の旗本宇津家の桜町領の復興を命ぜられ、妻子と共に、36歳の時桜町陣屋に移住してきます。

財政再建は決して容易なことではなかったようですが、見事に成功させ、近隣の下館、茂木、更に相馬、小田原の救済、次いで日光の復興。全国610余カ所の復興を成功させ、日光にて70歳でなくなったそうです。尊徳は、至誠=真心、勤労、分度=自分の立場をわきまえる、推譲=節約して子孫や社会に譲るといったことを教えたそうです。

解体修理が終わったばかりの茅葺きの桜町陣屋、すぐ傍には資料館、二宮神社、尊徳の墓などがありました。訪れる人もない静かなところです。墓は遺髪を葬ったものだそうです。

桜町陣屋に行く前に、高田山専修寺という浄土真宗の名刹に立ち寄りました。親鸞がこの地に来て布教をし、一寺を建てたのが専修寺。ここを中心にした門弟は「高田門徒」といわれて、真宗最大の教団だったそうです。

法会の時にはさぞかし多くに信者が集まるのでしょうが、この日は誰もいません。茅葺きの総門、山門、如来堂など、ほとんどの建造物は国の重文指定を、親鸞の墓「御廟」は国の史跡指定を受けています。信仰心のないものでも、人の気のないこの寺域に立つと、自ずと頭が下がるような感じでした。


いちごのビニールハウス
道の駅「にのみや」の金次郎像
茅葺きの専修寺総門
山門とその奥の如来堂
親鸞の木像がある御影堂
 桜町陣屋前の尊徳由縁の石碑
 土塁と堀を巡らした陣屋
桜町陣屋主屋。他に幾つもの建物があった由 陣屋脇の二宮神社
蓮城院の尊徳と家族の墓
 墓の脇にも金次郎像

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