神戸異人館と布引の滝をちょっと 

帰り道の駅新神戸から1km程の所に神戸の観光ポイントの一つの北野の異人館がある。神戸在住の方が、せめて「うろこの家」「風見鶏の館」「萌黄の館」は見てはいかがと勧めてくれた。24軒が有料公開していて、内部も見ることができるそうだ。外観だけでは、見たとは言えないけれど、その三館の外観だけでも眺めようとした。
地図を頼りにあちこち道を探し、時には店の人に教えてもらいながら、ずいぶん時間を浪費してしまった。気ぜわしく廻って、「うろこの家」は見落としたようだ。以前神戸に来た時、異人館を廻って一度見た筈だが、みんな忘れて記憶にあるのは風見鶏の館だけ。異人館やその界隈の町並みから、古くからの港町神戸の雰囲気をちょっとは味わった気がする。  
 
 風見鶏の館。明治42年(1910)、ドイツ人貿易商の自邸。国指定重要文化財。   旧パナマ領事館。カルロス領事の執務室、食堂、寝室、書斎、などが連なっている由。
 
 萌黄の館。明治36年(1903年)アメリカ総領事の邸宅。国指定重要文化財。    どこだったのだろう。風見鶏の館かな?
お粗末な話。
 
トランペットを吹く男像。小さな広場には、このほかにも楽器を演奏する像があった。     異人館のあたりは細い坂道が交差する山裾の高台に散在している。
新神戸駅に「布引の滝 450m」と書いてある。ここは紅葉のスポットだと聞いていたので、直ぐ近くじゃあと足を運んだ。ここは那智、華厳の滝と並ぶ三大神滝で、昔から歌人なども多く訪れていた。
この滝は四つの滝があり、山上のハーブ園まで2.7km、90分の散策コースとのことだが、とてもそこまでの時間と体力がないので、途中まで登った。路傍には30余の歌碑があるそうだが、見かけたもののうちから少しだけ取り上げてみた。  
 
緑の木立の中に瀬音を聞きながら登る。    雌滝(めんたき)高さ19m。「上品な滝」 
 
いかなれや雲間も見えぬ五月雨に
 さらし添らむ布引の滝      藤原俊成 
  布引の滝のしらいとなつくれば
 絶えずぞ人の山ぢたづねる   藤原定家
 
山姫の嶺の梢にひきかけて
 晒せる布や滝の白波        源俊頼
  松の音琴に調ぶる山風は
 滝の糸をやすげて弾くらむ   紀貫之
 
ぬきみだる人こそあるらし白たまの
 まなくもちるかそでの狭きに 在原業平
   我世をば今日か明日かと待つ甲斐の
 涙の滝といづれ高けむ    在原行平
 
 鼓滝。川は生田川、神戸市街を抜けて海へ    雄滝(おんたき)高さ43m。下が夫婦滝9m。
 ここも紅葉にはまだまだ間があるようだが、木々の覆う小さな谷間に大都会の騒音の代わりに流れ下る瀬音、滝の音に耳を傾けながら古歌を味わうのは、何という贅沢だろう。それなのに、途中で行き交った人は僅かに数組。
この滝を最後に、私の慌ただしかった小さな神戸の旅を終えて帰途についた。 

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