越生梅林を尋ねる 

梅林の名所の一つに埼玉県の越生(おごせ)梅林も名高いところの一つとかねがねより聞いていたので、尋ねてみた。ここは関東三大梅林の一つだそうだが、他の二つはどこなんだろうか。
大宮から川越線で高麗川まで行き、そこから八高線に乗り換えて越生まで辿る。
 
 車窓からはあちこちに大小の梅畑が散在しているのが見える。越生は古くからの梅の産地で町の主要産業ともなっているのだろう。「南北朝時代の観応元年(1350)に九州太宰府から天満宮を分祀する際に運ばれた梅の木が、広く植えられ栽培されたもの」だという。現在、越生町の梅は栽培面積40ha、収穫量約225tで埼玉一の産地だって。
 
 越生梅林の近くに田代三喜の生地があると地図にあるので回り道をした。   「医聖三喜之生家也」 「関東医祖古河公方侍医田代三喜翁之生家田代吉沢家」とある。
 
 三喜の略歴碑。寛正年この地に出生。23歳の時、遣明使に従い明に渡って医学を研鑽、帰朝後、古河公方の侍医となる。将軍の侍医となる曲長瀬道三などに医を伝える。    三喜像。明応6年(1497)古河公方政氏に招かれ古河に移住。医聖として名声をほしいままにする。天文13年古河に没すという。墓は古河永仙院跡と越生の最勝寺にある   
 
 三喜の生家の辺りも梅林が拡がる。   「三喜橋」を渡って600mで越生梅林に至る。 
 
越生梅林は越辺(おっぺ)川に沿った2haほどの梅林で、白加賀を主に、約1000本が植えられている。今年は寒さが厳しくて開花が遅れたとか、訪れた日は満開といってもよさそうだった。
 
 名木「魁雪」天満宮を分祀した頃の越生野梅が生き残ったものらしい由。樹齢650年程。   保存木「紅梅」樹齢200年以上の古木。 梅咲きぬなお里山を思ふ哉 太田道真(道潅の父
 
  わがゆけば梅林も動くかに見えて
 日は静かなる川沿いの道
   秋田雨雀
   入間川高麗川こえて都よ
   来しかひありき梅園のさと
秩父嶺は霞に消えて水車
    おとしづかなる梅の下かげ
梅園の千本の梢見おろして 
   岩根にいこふ琴平の山  佐佐木信綱
 
梅園の中に展望台が作られていた。さぞかし展望が開けるかと 、登ってみたが、梅園全体は見通せない。背後に並んだ各種の売店の展望は確かだが。それが狙い目かな? 
 
 各所に様々な売店が並ぶ。土産物に食べ物の店が。桜ではないが花より団子かな?    農家の手作りの梅干し。昔ながらのお袋の味。土産に買った。随分しょっぱそうだが。
関東地方には幾つもの梅園がある。本数でいえば群馬の箕郷が10万本、榛名が7万本、種類数だと青梅の吉野が120種、水戸偕楽園が100種、眺望なら丘陵地がいいかな? 歴史や由緒なら越生、偕楽園、湯島天神……。さて、関東一の梅林はどこなんだろうか。人それぞれの関東一があるのだろうなあ。   

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