渡良瀬遊水池の葭焼き

 茨茨城、栃木、群馬、それに埼玉の4県の境に広がる渡良瀬遊水池の春の風物詩、葭焼きが、例年3月中旬に行われます。葦簀の材料にする葭の刈り残した葭に一斉に点火して燃やすのです。虫害の駆除と、樹木が育つのを抑えて、よい葭を育てるのが目的なんだそうです。
三三平方キロもある遊水池のあちこちから火の手が上がりますが、降灰が時には何キロメートル先まで広範囲に降るので苦情が多いとか。洗濯物を外に干すと真っ黒になってしまいます。
 以前はこの広大な遊水池の葭を刈り取って、葦簀(よしず)を特産品として生産していましたが、中国から安いものが輸入されて、段々衰微してきてしまいました。現在も生産が続けていますが、いつまで残っていくことやら。
 葭焼きの現場に行ってみました。風もあまりなく、薄曇りで葭焼きには丁度いい日なんでしょう。近づくと、TV局や新聞社のカメラマン、素人カメラマンなどが大勢詰めかけていました。
遊水池のあちこちから黒い煙が上がっています。空は真っ黒く覆われ、焼ける匂いが立ちこめています。
 もっと近づくと、二、三メートルもある葭が数メートルの炎を上げてパチパチ?、ボチボチャ? 音を立てながら、少し風が吹くといっそう勢いを増して、葭をなめるように燃やしていきます。炎の去った跡には、ブスブスとくすぶった真っ黒な葭原が拡がっていきます。
 梅が咲き、葭焼きが終わると、今度は桃の花が咲き、桜が咲きます。もう春なんですね。


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