中禅寺湖に紅葉を探す

テレビで各地の紅葉だよりを報じます。毎年どこかへ出掛けているので、今年も是非紅葉狩りに出掛けたいものだと思っていると、日光の紅葉が盛りだというニュースがありました。日光なら時間も掛けないで行けるので、日光紅葉狩りに即断。日光といっても、標高差が900メートルもあるので、紅葉の時期も大きな開きがあるようです。日光の紅葉は、これまで何回もいっているので、今まで通り過ぎただけだった中禅寺湖を目当てに出掛けました。

宇都宮で日光線に乗り換えると、車内は外国人がほとんど。三年前に日光へ行った時も同じようだったことを思い出しました。世界遺産の日光は、外国人にとってもそれだけに魅力があるのでしょう。朝の日光の天気予報では最高14度というので、しっかりと真冬の身支度をしてきたのに、外国人の皆さんはどなたも気軽な服装で、この先寒いのではないかと他事ながら心配でした。靴もズックがほとんど。車内をそれとなく見渡すと、日本人は私ども二人の他に、大きなカメラと三脚を抱えた青年の4人だけ。なんとなく小さくなって乗っているような感じすらしました。

日光駅に降り立つと、バス停の前には長い行列が続きます。待っていると、バスが次々と来て乗客を乗せていきます。運悪く席がなくて立っている人がびっしり。4台目か5台目にやっと乗れました。幸い着席もできました。バスは神橋、東照宮、御用邸記念公園、東大植物園などを通り過ぎ、いろは坂を登って行きます。車窓から眺める紅葉はまだ少し早いようでした。名物?の猿の姿も小猿が2匹だけバスを見送っていました。渋滞の車窓から手を伸ばして荷物を奪う、手に提げている荷物の袋や土産店の商品を盗むなど困りものになっているそうですが、見かけた小猿は寒そうにバスを眺めているだけでした。

中禅寺湖に到着。湖岸には土産物店と飲食店が並んでいます。「湯葉……」という看板が多く眼につきます。そんな一軒で昼食にしました。「湯葉蕎麦」とやらを注文しました、900円也。お味は如何? 人それぞれなんでしょう、私にはなんとも言えませんでした。兎に角お腹を満たしてくれたことは確かです。店内には土産物コーナーがあります。そこにも湯葉の各種の土産が沢山並んでいるので、土産物に買おうと商品を裏返しして見ました。するとそこには「販売者 日光市……」とあり、日光で製造したものかどうか分かりませんので、買いませんでした。日本の観光地の土産品でも、包装はその観光地でも製造は海外のもあるそうですから街の中には製造販売しているところが何軒もあるので、そこで買おうとしましたが、結局買いませんでした。

そこから少し歩いて、遊覧船に乗ります。中禅寺湖一周の55分の船旅。席は9割方埋まりました。ちょうど、小学生の団体と乗り合わせました。窓際に乗ろうとすると、児童達が不思議そうな顔をしているので、「座席指定席かな?」と尋ねると、引率の若い先生が、児童を前の席に座らせて「どうぞどうぞ」と声を掛けてくれました。その中の児童に「どこから来たの?」と聞くと「千葉県印西市」と元気な返事。それから、どれだけ時間を掛けて来たの?、どこに泊まるの? など尋ねたり、尋ねられたり。途中で下船した子供達は、船を見上げて手を振ってくれました。久し振りの小学生との会話は、この旅の一番の思い出になりました。

船からは、少し雲のかかった男体山を仰ぎ見ることが出来ます。湖岸の木々は紅葉しているのですが、時期が遅いのか早いのか、曇り曇り空ゆえか鮮やかさに欠けているようでした。でも、船から眺める湖岸の風景は、絵筆を執りたいような思いがしました。男体山の対岸の木立の間には、建物がいくつか点在しています。イタリアやフランスの大使館別荘だったところの由。

そのうちに立木観音で船が停泊、ここで降りてみました。眼の前に中禅寺という寺が山の斜面に建っています。本尊は日光開山の勝道上人が立木に観音様を彫って作ったとのこと。高さ7mほど、躯体周りは2メートルもあるように見える大きなものです。地下にも1メートル程あるとか。説明ではいわなかったのですが、凡人には出来ないことでも高僧だから出来たのでしょう。観音様拝観で帰ろうとすると、順路はこっちと案内されて進むと、本堂の背後には大黒天堂、その上には五大堂とがあり、それぞれに説明の僧が待ち受けていて説明をしてくれます。5分だけのつもりが2、30分程もかかってしまいました。信仰心の乏しい者には拝観の資格はないようです。
いろは坂を下って、新装なった陽明門でも拝観する計画でしたが、そのまま駅へ。新しい靴が合わないのか歩くのが大変でした。

  ささやかなアルバム

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