| 三島から沼津へ |
かねがね、若山牧水の終焉の地、沼津を訪ねたいと思っていたのですが、このほどやっと実現しました。旅の初めは電車が事故の影響で80分程の遅延で、計画は変更を余儀なくなくされました。新幹線は沼津に停まらないので、一つ前の三島から東海道線に乗り換えます。三島はかつて歩いたことがあるのですが、ここに国分寺址があるというので、ついでにちょっと散策。駅前の国指定天然記念物・名勝という楽寿園を再訪。そこから足を伸ばして国分寺へ。国分尼寺址、三嶋大社の再訪を断念して、駅前からバスで三島スカイウォークへ。 スカイウォークは観光用の日本最長の大吊橋。谷間を越えて長くて高い吊り橋が架かっていました。この日は風が吹いていて、橋も僅かに揺れます。そこを次から次への人の行列。だれも景色を眺める余裕はなさそうでした。この日は富士山もよく見えていました。「日本一高い富士山と日本一深い駿河湾を日本最長の吊り橋から眺める」ポイントだそうです。橋の他にロープにぶら下がって滑空する施設などや、紫陽花のなどの花を楽しむところも。私は1000円で400ｍの吊り橋を往復し、富士山を眺めただけで駅へ。多分、大部分のお客さんも私と同じかな。沼津駅から宿へ直行。山の中腹に位置する温泉旅館。5階の客室からは富士山を望むことが出来ます。駿河湾を越えて対岸の由比や清水も見えるかと期待していたが、御用邸の木立に遮られて海も見えません。この季節ということもあるのでしょうが、客は二組だけでした。沼津の宿ですから、様々な海の幸が提供されました。朝夕の海産物を数えてみたら15品。始めて口にしたものもありました。 翌日は、歩いて御用邸公園へ。明治、大正、昭和の77年間、天皇一家や皇族の保養の地として利用されてきたとそうです。駿河湾に沿って松などの林の中に、付属邸御殿、学問所など幾つもの建物が点在しています。芝生、紫陽花、梅林、藤棚……、馬場や防空壕もあったとか。広い園内を一巡するには1時間では足らないようです。  ここから海岸沿いを歩いて我入道公園へ。鉄道唱歌に「沼津の海に聞えたる 里は牛臥我入道……」という一節がありますが、かねてから気になっていましたので、ちょっと寄りたかったのです。一帯は海に出張った我入道公園となっており、その中に牛臥山という70ｍの小高い山があります。見上げると急な道が続いていますが、とても登る気力も脚力もないので断念。一体は景勝地で、かつて大山巌陸軍大将の別荘があった由。山の背後に回ると遊具などを備えた公園があり、そこに芹沢光治良記念館があり、周辺に彼の文学碑も3つあるそうすが、見つかりませんでした。生家は公園の近くだそうです。続いて、2キロ程離れた沼津魚市場へも歩くかと思いましたが、宿からこれまで3キロ。この先2キロはとても歩けないのでタクシーで。ここには漁港に隣接し市場やマーケット、深海魚の水族館がありました。飲食店が沢山並んでいました。その一軒をやっと選んで魚料理で昼食。この日初めて腰を下ろしたような気分でした。「それはおいしかったですよ。」食休みもそこそこ直ぐ隣の深海魚水族館へ。シーラカンスなど、様々な姿や生活をする多種の深海魚を駆け足で見て回り、直ぐ近くの港口公園から千本松公園へ。 駿河湾の奥に松林が続き、その中に牧水の記念館がありました。この近くに住まいがあったそうです。じっくり時間を取るつもりが、ちょっと覗いただけで先を急ぎました。牧水は早稲田卒業後、中央新聞社に記者として入社したのですが、私が調べている作家の若杉鳥子もちょうどその頃記者として中央新聞に務め始めた頃なので、同僚として勤務したのではと思われます。後に牧水が創刊した「創作」の社友として鳥子も関わります。ここの辺が知りたいと思っていたのですが、結局お預け。もうとても歩けないので、タクシーを呼び、駅に向かう途中に、牧水と家族の墓にお参りして、旅を終えました。この日の歩数は16641歩。老骨には負担過重でした。 港に来たのだから海産物を土産にしたいと、魚市場周辺のいくつもの土産店を回ったのですが、手頃な物が見当たりません。干物専門店なら格好な物があると思いましたが、ここでも手頃な好みの物はありません。結局買いませんでした。沢山土産物は並んでいますが、私のこだわりは土産物＝その土地の産物という思いがあり、沼津土産は沼津で売っている物とは思わないのです。よその土地で作って、販売だけはその土地の名前になっているのは私の土産ではありません。手頃な沼津産を探したのですが、結局買うのを断念しました。もっと探せばきっとあったでしょうに、時間にせかされて「ああ 残念至極」 アルバム |