更科紀行      芭蕉

さらしなの里、おばすて山の月見んこと、しきりにすゝむる秋風の、心に吹さはぎて、ともに風雲の情をくるはすもの又ひとり、越人と云。
…………
     姨捨山
  俤や姨ひとりなく月の友
  いさよひもまださらしなの郡哉
  さらしなや三よさの月見雲もなし   越人
  ひよろ/\ と尚露けしやをみなへし
  身にしみて大根からし秋の風
  木曽のとち浮世の人のみやげ哉
  送られつ別れッ果は木曽の秋
…………

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